ボーナス払い:住宅ローンの危険な罠? (Bonus Barai Risks)
月々の支払いを安く見せる「ボーナス払い」。景気後退や転職時に破綻の原因となるこの仕組みのリスクと、避けるべき理由を解説します。
ボーナス払い:住宅ローンの危険な罠?
日本の住宅ローンには、世界でも珍しい**「ボーナス併用払い」**という仕組みがあります。 これは、毎月の返済額を抑える代わりに、夏と冬のボーナス月にドカンと大きな金額(例:20万円、30万円)を返済する方法です。
不動産営業マンはこう言います。「ボーナス払いを併用すれば、月々の支払いは今の家賃と同じですよ!」 しかし、ファイナンシャルプランナーはこう言います。「ボーナス払いは絶対にやめなさい」。
なぜでしょうか?
重要なポイント (Key Takeaways)
- ボーナスは不確実: 給料は減りにくいが、ボーナスは景気次第で簡単にカットされる。
- 転職の壁: 年俸制の外資系企業などに転職すると、ボーナス払いが維持できなくなる。
- 元金が減らない: ボーナス月まで元金が据え置かれるため、総支払利息が増えることが多い。
- 破綻の入り口: 住宅ローン破綻の多くは、ボーナス払いができなくなったことから始まる。
1. 不確実な未来への賭け
住宅ローンは35年続きます。 35年間、一度もボーナスが減らない保証はありますか?
- 会社の業績悪化。
- コロナショックのようなパンデミック。
- あなた自身の病気や休職。
ボーナスが出なくなった月、あなたは給料から通常の生活費+ローン返済+数十万円のボーナス返済を捻出せねばなりません。これは家計直撃です。
2. 利息の無駄払い (The Math)
ボーナス払いは、実は損をします。 なぜなら、ボーナス分として割り当てた元金(例えば借入額の30%)は、半年に1回しか返済されないからです。 その間、その元金はずっと利息を生み出し続けます。
毎月払いのみの場合、毎月コツコツ元金が減るので、利息も効率よく減っていきます。 ボーナス払いは、**「元金の減りを先送りする」**仕組みなのです。
💡 シミュレーション: 当社の 住宅ローン計算機 で、「ボーナス払いなし」と「あり」を比較してみてください。総支払額に数万円〜数十万円の差が出ることがあります。
3. 転職の自由を奪う
最近は日本でも転職が当たり前になりました。 しかし、多くの外資系企業やベンチャー企業は**「年俸制」**(年収を12分割して支給)を採用しています。ボーナスという概念がありません。
もしあなたがボーナス払いを組んでいると、年俸制の会社に転職した際、自分で夏と冬に大金をプールしておかなければなりません。これは非常に高度な家計管理能力を要求されます。 結果として、「ローンのために今の会社を辞められない」というキャリアの足かせになります。
4. すでに借りてしまったら?
もし既にボーナス払いで借りている場合、どうすべきでしょうか?
- 借り換え (Refinance): 他の銀行で「ボーナス払いなし」で借り換える。
- 条件変更: 現在の銀行に相談し、ボーナス分を月々払いに振り分ける(毎月の負担は増えますが、安全性は高まります)。
- 先取り貯金: ボーナスが出たら使わずに、ローン専用口座に即座に移す。
5. 結論
「月々の支払いが楽になる」は甘い罠です。 家を買うときは、「ボーナス払いなし」で返済できる予算で物件を選んでください。 ボーナスが出たら?それは旅行や教育費、あるいは繰り上げ返済に使えばいいのです。義務にしてはいけません。